2021年、今年の一本!

いよいよ今年も一年が終わりを迎える時期となりました。
そして年末恒例「今年の1本!」です。
今年1年間にご修理させて頂いた中で、特に印象に残った時計(オーナーさん!?)をご紹介したいと思います。

今回は「Obrey Silver Hand made」のオーバーホールご依頼です。

裏蓋を開けたところです。
オブレイは、既に製造中止となっているムーブメントのお蔭で、なかなか普通の時計屋さんでは直してもらえないようです。

そして案の定、液漏れ跡です。(黄色丸印)
以前に液漏れを起こしたまま電池交換だけで済まされてしまうと、いつまでもこの様に残ってしまいます。

液漏れ跡の付いたマイナス端子は回路ブロックという電子部品と一体です。
端子の裏側には液漏れは回っておらずひと安心。

しかし液漏れ跡を拭き取りましたが、僅かに1か所腐食跡が残りました。
最初に手当てしておけばねぇ~。

貴重な部品ですから、何とか使い続けられるようにします。
念の為、次回の電池交換の際に確認すればいいでしょう。

シルバーはどうしても変色が避けられません。
ですからオーバーホール時のクリーニングが、出来上がりを左右します。

因みに洗浄機で洗っただけですと、これくらい。

で、時間を掛けてやるとこれくらい、ですかね。

オーバーホールの済んだムーブメントをセッティング、裏蓋を閉めて完了です。

コチラのオーナーさん、今回2本のオブレイをお持ち込み下さいました。
どうもオブレイオーナーさんは複数個お持ちの方が多いようですね。
定価はそれ程お安いワケではないんですけど、その独特なフォルムが、何ともいえない魅力に溢れているのでしょう。
オブレイに心を奪われてしまったかのように、1つ買うとまた違った形がもう1つ欲しくなるのかも。

ところが残念なことに数年前、本家Parisのオブレイさんが製造販売を終了してしまいました。
でも驚いたのは、そのことを修理に持って来られるオーナーさんの殆ど全員が知っていらっしゃるんですよねぇ。
もう十年以上も前に購入した時計なのに、皆さんお詳しいのでビックリです。

ところで、コチラのオブレイ(のオーナーさん)をどうして今年の1本に選んだのかと言いますと、実はコチラのオーナーさんのひと言が、わたくしの心をわしづかみにしてしまったんですねぇ。
その一言が、
「ブログ見てまーす。いつも楽しみにしているんですよ!」
ですって!

もうこれ、わたくしへの殺し文句です!
一生懸命綺麗にしましたから!!

今年も一年お付き合いありがとうございました。
来年も皆様にとってより素晴らしい一年になりますように…。

    ウォッチ&ジュエリーカエラ  野口伸一

※年内は30日迄、新年は1月7日(金曜日)から通常営業になります。