さぁ、今年も一年が終わりを迎える時期となりました。
そして年末恒例「今年の1本!」です。
今年1年間にご修理させて頂いた中で特に印象に残った時計(オーナーさん!?)をご紹介いたします。
それでは!
「ULYSSE NARDIN UTC MICHELANGELO」、ユリスナルダンのミケランジェロ GMT(2か国時間表示機能)のオーバーホールのご依頼です。
裏蓋を開けるとしっかり錆が出ていました。
このムーブメントはETA社のムーブメントをベースに作られてはいますが、かなり複雑です。
それはこのメーカーの技術力とプライドでもある訳です。
オーナーさんは、エタベースが珍しくて購入されたそうですので、相当の時計マニアですね。
パッキンがしっかりと効いていたので外側との差は歴然です。
洗浄クリーニング、錆除去を施します。
しっかりきれいに落ちました。
オーバーホールの済んだムーブメントをケースにセッティング、裏蓋を閉めて完了です。
このナルダン ミケランジェロ GMTは、2時位置の窓にカレンダーの日にち(25日)、9時位置の窓が海外で使用する際のホーム時間等を表示するGMT機能(17時)になっています。
大概のGMT時計は、時分針とは別のGMT針で表すのが一般的なところですが、ナルダンはこれを時計はアナログ(針)で、他のGMT、カレンダーをデジタル(数字)とすることで、スッキリと分かり易い他にない表示方法を技術力をもって、他のブランドとの差別化に成功しています。
コチラのオーナさん、実は欲しかったのが18金のGMTだったそうです。
でもお金が無くてステンレスに…。
って、これだって珍しいすごい時計ですけど!
でもおかげで錆の発生被害に遭われてしまったわけですけれど…。
今回、このナルダンの他にブレゲ トランスアトランティック YG、バセロンコンスタンタン トリプルカレンダー YGの2本も一緒に納品させていただきました。
でもその前には、エベルの自動巻が3本、オメガ シーマスター コアキシャルのSSとWGアニュアルカレンダー、ジャガールクルト レベルソ、バセロンコンスタンタン YGと、出来上がっては次、出来上がっては次と、とうとう足掛け4年目に突入です。
そして現在、最後の1本らしいですがお預かり中です。
まぁ、コチラのオーナーさんほどのマニア(オタク?)の方は相当珍しいと思いますが、修理が出来上がってまた追加のご修理を頂くということはよくあります。
うまく出来上がればでは次を、ということのようです。
また受け取り時についでに電池交換も、という方も結構いらっしゃいます。
わたくしにとってそういったリピーターのお客様ほどうれしいことはありません。
それはしばらく経ってから、或いは数年後に2本目という場合もあります。
また2年後3年後に再度持ち込まれる電池交換でも同じです。
「前回もここで直してもらいましたので、またお願いします。」なんて声を掛けられると本当にやっていてよかったなぁ、と、張り切ってしまうものです。
勿論商売なんですが、たぶん手を掛けた時計がその後もしっかり動いてくれて役目を果たしてくれていたことに安心するというか、ホッとするからなのかもしれません。
“ハイ、これで大丈夫、また頑張ってね!”
お返しする時計には、いつもそう願っています。
なんだか年々そういう感情も強くなっていくような気がしますねぇ~。(やっぱ年か ⁉)
今年はこのコロナ禍により商売のスタイルも試行錯誤が続いています。
それでもこれからも変わらず2本目3本目、2年目3年目へと続いていただけるようなご修理、ご提案を心掛けてこれからも精進していきたいと思います。
それにしても2020年は、昨年とは全く違う生活スタイルや習慣を強いられましたね。
楽しみにしていた予定を変更したり取り止めてしまったり、自粛で自宅に巣ごもりですとか色々あったかと思いますが、皆さんは無事にくぐり抜けて来られましたでしょうか。
わたくしにとっては、なんだかあれよあれよという間に1年が過ぎ去ってしまったと言うのが実感でしょうかね。
果たして、2021年はどのような年になりますでしょうか。
しっかり用心して、良い年にしていきましょう。
今年も一年お付き合いありがとうございました。
来年も皆様にとってより素晴らしい一年になりますように…。
ウォッチ&ジュエリーカエラ 野口伸一
※新年は1月7日(木曜日)から通常営業になります。