本当に仕上げは必要?                          ROLEX Ref.79173G DATE JUST

ロレックス デイトジャスト レディース コンビ 10ポイントダイヤのメンテナンスオーバーホールのご依頼です。

裏蓋を開けてみますと、中は至ってきれいな状態です。
ロレックスの防水性は完璧ですね。

ケースにはそれなりの汚れが付着している程度です。

オーナーさんからは夏に海水浴で海に浸かってしまったので錆が出ているかも、とのことでしたが特にその影響は見られませんでした。

洗浄機でクリーニング。
スッキリしましたね。

ブレスレットの中央部分は18金製の輪っかが連なっているのですが、ここは非常に汚れが溜まりやすく、やはりコチラも汚れで真っ黒です。

ブレスの汚れもしっかりきれいに落ちましたよ。

オーバーホールの済んだムーブメントをケースにセッティング、裏蓋を閉めて完了です。

ところで、時計の外装をきれいにする仕上げ直し。(店によってはポリッシュとか呼ばれています)
オーバーホールに出されると、きれいになりますよとか、新品同様になりますよとか、或いは錆が出ているのでついでに仕上げもやっておきましょうなどと勧められるかもしれません。
確かに元の使用していた状態に比べれば、小キズが取れて艶のある輝きは、きれいになったことを実感出来ます。(深いキズやその位置によっては残る場合もあります)

ですが弊社でオーバーホールをお受けする場合、特にはお勧めしていません。
ていうか、ハッキリ言って出来るだけ仕上げはやらないほうがいいと思っています。

え?どうして?と、思われるかもしれませんね。
もちろん依頼されれば、きれいに仕上げてお渡ししていますが…。

キレイに拘るわたくしといたしましても、喜んで下さるお客さまの顔を見るのは嬉しい限りです。
それにその分会社の売上にも繋がるわけですし、見た目が良くなるのであれば良いのでは、と。

でも皆さんは、出来るだけ修理費用は抑えたいと思っているはずです。
きっとその為にネットで検索、調べられているのではないでしょうか。
それなのに修理費用に数万円上乗せされるのは果たしてオーナーさんにとって必要性があるのかと、そう思ってしまうわけです。
修理や錆の問題と、仕上げは別の話しです。

というのも何故なら実は、汚れを落とすだけでもそこそこきれいになるからなんです。

時計が汚れて見える原因は、ホコリ、皮脂、錆、そして変色等ですから、こういったものをしっかり落としてあげれば良いわけです。
このしっかりとが重要で、洗浄機で落ちなかった汚れは手作業で落としていきます。
ですので酷い錆など時計の状態によっては、オーバーホールより時間が掛かることもしばしば。
これまでの修理上がりの画像を見ていただければ、どれくらいきれいになるかが分かると思います。

それにそもそも仕上げとは、ケースやブレスレットのその材質を削って研磨することですから、当然元の形から僅かですが変わってしまいます。
特にプレミアが付いた時計やアンティークウォッチ等では、仕上げが入っていない時計はレアな時計として評価も上がります。
またコレクターのような人になると、ロレックスのようにメーカーのオーバーホールにセットで行われる仕上げさえも断わるくらいです。

まあ極端な例ですので、一般的な時計でしたらそこまで神経質にならなくてもいいとは思いますが、必要が無ければ出来るだけ避けたほうがいいとわたくしは思っています。
ましてやオーバーホール毎に仕上げをされている方は、せめて数回おきとかに回数を減らしたほうが無難でしようね。
それでもたとえば落としたりぶつけてしまった傷が目立って気になるとか、他者に譲るからきれいにして渡したいとかそういうはっきりした理由がある場合には、充分価値のある修理費用だとは思います。

そしてコチラのオーナーさんも、今回のキレイになった時計に大変喜んで下さいました。
修理代を抑える努力が、報われた瞬間でもあります…。

作業内容 : オーバーホール、洗浄クリーニング
交換部品 : パッキン類
修理費用 : 26,400円(税込)