TENSHODO Dual Time Alarm 電池交換

銀座天賞堂 デュアルタイムアラームの電池交換です。

裏蓋を開けても、カバーでムーブメントは保護されています。

電池を交換、カバーを取り付けて汚れを拭き取ります。
暫くこのタイプの電池交換をやっていないと、時間の合わせ方を忘れちゃったりします。
でも裏蓋に親切に時間の合わせ方が記されていますので安心、安心。
蓋を閉める前にコレを見ながら時間を合わせます。
えっ?そんなことも知らないのかって?
いやいや、その理由は次で…。

「天賞堂デュアルタイムアラームは日本と海外の諸都市をビジネスフィールドとして活躍する方々にとって必要アイテムである、二都市の時間表示とアラーム機能(2地点)を備えた製品です。 」と、天賞堂さんのサイトでは説明されています。
更には現時刻を音で知らせるミニッツリピーター機能、 月、日、曜日のカレンダーはもちろん、閏年も自動で修正してくれます。
コレをちゃんと機能させるには最初の設定が肝心です。
コチラのオーナーさんは、ご親切に取り扱い説明書のコピーをわざわざご持参下さいました。
ありがとうございました!
でも残念ながらグランドコンプリケーションモデル用ではちょっと違うんですよねぇ〜。

設定方法は簡単に言えば、まず竜頭を引いて各ボタン3つを押して合わせて竜頭を戻して、また竜頭を引いて各ボタンを押して合わせて竜頭を戻して…、なんですけどね。
多分このテの時計のオーナーさんだって分かっている方のほうが少ないんじゃないでしょうか、面倒くさいですもんね。

とはいえ、わたくしも合わせれば思い出します。
でもまた忘れちゃうでしょうね、多分…。
ですから最近はもう忘れることにしています。
年取るとアタマの中も断捨離が必要なんです!?

作業内容 : 電池交換
修理費用 : 1,400円(税別)
 
 

2019年、今年の一本!

今年もいよいよ一年が終わりを迎える時期となりました。
恒例となりました「今年の1本!」、ご紹介したいと思います。
今年1年間にご修理させて頂いた中で、特に印象に残った時計(オーナーさん!?)です。

今回は、タグホイヤー セルシリーズ アナログ/デジタルクロノグラフ、通称セナモデル。
あの伝説のF1ドライバー、アイルトン・セナも愛用していた時計です(着用していたのは革ベルトタイプ)。
今年は13年振りにホンダがF1グランプリで優勝、シーズン3勝を上げて盛り上がりを見せましたね。
 
 

TAG Heuer S/el CG1123-0 Senna Model.

修理依頼内容は、クロノグラフが動かない、竜頭の交換、そして針の夜光塗り替えでオーバーホールをとのことでした。
ハイ、ハイと軽くお受けしたところが思いもせぬ超長期戦になるとは…。
 
 

裏蓋を開けてみたところ…、
あれま???

電池の上にテープが貼ってあります。
 
 

テープを剥がしてみると、白いリングを電池押さえの代わりにしているのかと思いきや、どうやら違うサイズの薄い電池が入っています。
見えないところとはいえ…、
 
 

クォーツ式の時計では、通常1つの時計にコイル(銅線を巻いたもの)は1つです。
しかしクロノグラフなどの場合、針の数だけ駆動用のコイルも増えていきます。
そしてコチラの時計にはなんとコイル(赤と緑のやつ)が5つも!
つまり別々に作動させる針が5本あるということです。
しかし、その内の3つのコイルに不具合が。
なんで3つもダメなのよ〜?!
 
 

ぴ〜〜す‼
 
 

ケース、裏蓋には錆が出ています。
交換依頼の竜頭は削れています。
他には特に問題は無さそうかなと思ったのも束の間…、
 
 

プッシュボタンを外してみるとご覧の通り、なんと収まるはずのパイプが根元からポロリ!
外れたわけではなく、完全に錆と腐食によってやられています。
 
 

本来でしたらこのようにパイプがケースにしっかりと差し込まれています。
それがケースに残ったまま折れたような状態とでもいいましょうか。
交換部品なんて無いだろうし。
コリャ、どうしましょう?!

しかし、どうしても直したい!というオーナーさんの熱い思いになんとかしなければ…、
 
 

ということで、やっとのこと見つけました!!

ケース有りましたよ!!!
 
 

つまり、そっくりケースごと交換です。
プッシュボタンのパイプも問題無し。
 
 

ブレスレット、バックルの錆、汚れを落とします。
 
 

黒っぽい汚れが落ちてスッキリしました。
 
 

文字盤を載せて針を取り付ければ完成です。
あともう少し!
実際は動作チェックをするまでドキドキなんですけどね。
 
 

オーバーホールの済んだムーブメントをケースにセッティング、裏蓋を締めて完了です。
 
 

いやぁ〜長かった〜。
お預かりからお渡しまで、実に2年以上も掛かってしまいました。
一旦は修理をお断りしたのですが、オーナーさんの熱意とこだわりには、只々脱帽です。

お話しを伺うと、どうやら若い頃、欲しかったけれども買えなかった時計だそうです。
憧れだったこの時計を今、値段もこなれてオークションにて大人買いされたそうです。
誰でもひとつくらいそういう若かりし頃の思い出の品ってありますよね。

今回のご修理では、中古の時計1本買いにて交換が必要な部品をほぼ賄いました。
もちろん修理の交換部品は新品が原則ですが、古い時計になってくるとやむを得ない場合も出てきますし、全てを新しくする必要もない場合もあります。
特に外装関係の部品交換(ケース、裏蓋、ボタン類、ブレスレット等)は、ほぼメーカー修理になってしまいますからそういう修理の場合、修理代を抑えるのは難しくなってきます。
ただ修理金額が見合うよう探してはいますが、最近の時計相場の高騰で今後それも難しくなって来るかもしれません。

ところでネットオークションや海外通販等を利用される場合、思いもよらぬ所に不具合が隠れていたりします。
「不動」、「今は動いていない」、「電池交換はご自分で」等の説明がある場合などはリスクが高いですから、うっかりシロウトさんが手を出すと痛い目にあうかもしれません。
くれぐれも注意して最低でもオーバーホール代が掛かるくらいの覚悟はしておいた方が良さそうですね。

とはいえ、皆さまには2020年も是非、時計ライフをエンジョイして頂きたいと思います!


作業内容 : オーバーホール、時分針夜光塗り替え、錆除去、洗浄クリーニング
交換部品 : ケース一式、コイル×3、竜頭·巻真、電池押え、側止め板·ネジ、プッシュボタン、バネ棒、パッキン類
 
 

今年も一年お付き合いありがとうございました。
来年も皆様にとってより素晴らしい一年になりますように…。

     ウォッチ&ジュエリーカエラ  野口伸一

※新年は1月4日(土)、5日(日)は営業、6日(月)〜8日(水)は休業、1月9日(木)から通常営業になります


PORSCHE DESIGN Chronograph 電池交換2

ポルシェデザイン クロノグラフの電池交換です。

しかしバネ棒を外すと、中のピンが飛び出してきました。
バネ棒の寿命です。
長くお使いになった時計ではよくある事です。

ムーブメントはIWC製です。
それ程汚れも無く、きれいにお使いですね。

電池を交換して僅かな汚れを拭き取り、裏蓋を締めて完了です。

バネ棒は交換します。

一見してポルシェデザインと判るその個性的なデザインと丁寧な造りが、このメーカーのアイデンティティを物語っています。
文字盤にある「by IWC」は、その自信の現れなんですね。

作業内容 : 電池交換、バネ棒交換
修理費用 : 2,400円(税別)