カルティエ ベニュワールです。
裏蓋のネジが一本折れてしまいました。
ネジが幾らかでも残って出ていれば、頭の部分が無くても抜くことは可能です。
しかし今回の場合殆んどネジ、無いです…
こういう場合の修理方法としては、
①折れたネジ本体の上から真っ直ぐドリルで穴を明けてネジを削り取り、
②明けた穴に再度ネジを切り直して、
③そのネジ穴に合うネジを新規に造る。
というのが普通です。
元のオリジナルと同じネジは使えません。ネジ穴が大きくなってしまうからです。
1本だけ違う太さのネジになるわけです。普通でしたら…
しかし20年、30年経った時計ならしょうがないかもしれませんが、そうでもありません。
しかもクォーツですから、2~3年に一度は電池交換をします。
裏蓋のネジは4本共に同じ方が間違えるトラブルもなく、後々何かと都合が良いわけです。
何か他に良い方法はないものかと考えに考えて、腕がいいと聞いた職人さんに、何とかお願いしてやってもらいました。
2ヶ月程経って出来上がってきました。
それはよ~く見ても、他のネジ穴と何ら変わらず、オリジナルのネジもしっかり締まります!
正に神業ですね!
こういう仕事がプロフェッショナルです。
18金だった事も幸いでした。
金は、細工や加工がしやすい素材なので修理への対応も幅広く可能になります。
以前にも書きましたが、18金は時計の素材には最適だと思います。
やはりいい時計は、長く使えるようにできているんですかねェ!?
洗浄機でクリーニングした後、金の焼け(赤茶けた色)も元の18金の色に戻します。
オーバーホールの済んだムーブメントをケースにセッティング、オリジナルのネジで裏蓋を取り付けて完了です。
何事もなかったかのように、またお使いいただけます。良かったですね♪
めでたしめでたし!!
作業内容 : 裏蓋ネジ折れ抜き、オーバーホール
交換部品 : 裏蓋ネジ(18金純正部品)×1本、パッキン
作業料金 : 38,000円(税別)