カルティエのマストタンクです。電池交換でお持ち頂きましたが、暫く使われていなかったようで電池が液漏れを起こしていました。
(ー)の電極板が腐食しているのが判ると思いますが、下の地板にも液漏れ跡が残っています。
永く使い続けたいとのことで、オーバーホールでお預かりです。
白く粉を吹いたようになっていますが硬くこびりついています。どの位いのダメージか気になります。
(ー)電極板ですが腐食がだいぶ進んでいました。後々折れてしまう危険性もありますのであまり薄くならないよう多少跡を残しています。
この後メッキ処理を施します。
カルティエ独特の銀に厚メッキ処理を施すヴェルメイユ加工は、このように使用しているうちに変色してきます。
幸い地板は点々とした黒い腐食跡が残った位で済みました。
電極板は18金メッキを掛けたので電流の流れが良くなったりして!?
このタイプのチューブ(竜頭が被さっているパイプ部分)には、よくひびが入っていることがあります。この赤色の中枠部分はプラスチック(系)ですので、竜頭をぶつけたり衝撃を与えると割れてしまいますのでご注意を。
こちらの時計は、問題ありませんでした。
ところで、
画像の右側の電池は、直径6,8㍉×厚み2,1㍉、左側の電池は直径6,8㍉×厚み1,6㍉です。
右側が入っていた電池で、左側がメーカー指定サイズの電池です。
今回の液漏れの直接の原因ではないようですが、電池が厚いために電池を固定するネジが締まらずグラグラの状態でした。良いわけがないんですけどねぇ。
カルティエの最初のレクタングル(長方形)モデルとして1917年に登場して以来、タンクはとても息の長いモデルです。
こちらはちょっと変わった文字盤ですが、限定品等文字盤の種類が多いのもこのタンクの特徴ですかね。
作業内容 : オーバーホール、液漏れ跡除去修正、洗浄クリーニング
交換部品 : パッキン