フランクミュラー CONQUISTADOR(コンキスタドール)のレディース、自動巻きです。動かないとのことでお持ち込みになられました。
開けて見てみると、すぐにわかりました。
ゼンマイが入っている香箱の歯に、ネジの頭の部分が引っ掛かっています。
これではゼンマイはロックされて動きませんね。
ムーブメントを固定する機留めネジ2本の片側が折れていました。原因は何でしょうか?
折れたネジの頭は取り除けても、地板に埋まったネジ部分を抜くには全部バラさないと出来ませんから、合わせてオーバーホールでの作業になります。
お客様に概算の見積金額をお伝えして、オーバーホール修理にてお預かり致しました。
跡は少し残りましたが、錆は落ちました。
ケース、裏蓋、竜頭の汚れもきれいに落ちました。
目立ちませんがコマの隙間には汚れが溜まっています。洗浄機でクリーニングです。
バネ棒は先端部分が曲がってガタが出ていますので、両方交換です。
クリーニングできれいになったブレスですが、バネ棒が通るパイプの中をチェックしてみると錆が残っています。洗浄機だけでは落ちない場合があるので、この確認が重要なんですね。
そして最初の画像のような状態から判断して、12時側、6時側の両側共に錆除去しておきます。
ブレスレットもきれいになりました。
コマとコマの間の黒ずみが無くなっているのわかるでしょうか?
とても手間の掛かっている文字盤です。
またガラスに合わせて文字盤も平面ではなく、上下(12時側と6時側)が湾曲しています。
今回、万一もう片側も同じ時期に折れる可能性もあり、またネジの形状の見た目も考えて両側一緒に交換しておきました。(どちらかというと見た目?気になりますし。)
‘92年に受注生産主体の独立時計師としてスタートしたフランクミュラーですが、複雑時計の開発などで一気に一流時計の仲間入りを果たします。またその個性的なデザインやメカニズムにおける独創性、新作を次々と発表し続ける創作性に至っては、時計界に革新をもたらしたマイスターと言っても過言ではありません。
またこれからも大切にお使い下さいね。
作業内容 : オーバーホール、折れネジ抜き、錆除去、洗浄クリーニング
交換部品 : 機留めネジ、ばね棒、パッキン類
作業料金 : 37,000円(税別)