ブルガリのBB26SSの竜頭が引き出せないとのことです。
このモデルは元々竜頭が回し辛く、針回しも徐々に重たくなってくるのですが、コチラの竜頭は全く動きません。
外装もだいぶ汚れが溜まってきており、また針には曇りが出ています。
裏蓋を開けてみましたところ、竜頭からムーブメントに差し込まれている巻真が錆びていました。
恐らく竜頭のパッキンが効かなくなってしまい、そこから汗や水、湿気が入り込んでしまったことが原因です。
特にクォーツの時計ではご使用中でも竜頭は殆ど触る事もないでしょうからね。
よくあるあるですが、ともかく竜頭が抜けませんとムーブメントが取り出せません。
そして電池を取り出してみると、やはりというか、液漏れも起こしています。
更にムーブメントのカバーと回路ブロックを外しますと、巻真はムーブメント本体に錆で完全に固着しているのがわかります。
そしてムーブメントを固定する機留めネジ(黄色丸印)にも錆びが。
また液漏れがムーブメント本体にも付着しています。(黄色矢印)
これではオーバーホールだけでは済みませんね。
ムーブメント一式の交換となります。
先ずは竜頭を再利用出来るように何とか外します。
チューブの奥に真っ赤な錆びた巻真が見えますね。
この状態ではまだ巻真が引っ掛かってムーブメント本体は取り出しできません。
で、その巻真を切断。
これでムーブメントが取り出せます。
そのムーブメントは新品と交換です。
曇りの出ていた針は、既に腐食が出始めていました。
どこまで目立たなく出来るか、ですかね。
錆びた機留めネジ(右)は、同じサイズに加工したネジ(中央)で合わせます。
裏蓋の履歴から察すると、前回の電池交換は2016年でしょうか。
もしかしたらそれ以前から、巻真には錆が出ていたのかもしれません。
洗浄機でクリーニング、錆除去を施してスッキリとなりました。
オーバーホールの済んだムーブメントをケースにセッティング、電池を入れて裏蓋を閉めて完了です。
錆の原因となった竜頭は、パッキンを交換して無事オリジナルが使えるようになりました。
よかったですね。
普通は竜頭交換でしょうから。
ただ、針は僅かに腐食跡が残ってしまいました。
まあ、言われなければ気にはならないとは思いますが…。
どうでしょう?
お安く仕上げるには、何事にも努力を惜しまないことです。
作業内容 : オーバーホール、巻真錆固着除去、錆除去、針汚れ除去、洗浄クリーニング
交換部品 : ムーブメント一式、機留めネジ合わせ、パッキン類
修理費用 : 35,200円(税込)