ジュエリーのデザインについて

このわたくし、時計修理の他にジュエリーのお仕事もやっております。
元々はジュエリー業界からスタートしましたわたくしでして、製造、卸し、小売りと一通りのことをやってきたワケです。

今は自分で造ったりすることはしなくなりましたが、デザインを考えることは好きなのでリフォーム等でデザインをしております。

今回頂いたオーダーは、3本のリングを、まとめて1本に造り直したいとのことでした。

 

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お預かりしたのは、サァイアのリングと古いダイヤの立爪リングが2本。
下のリングは、サファイアの元枠です。

さて、どの様なデザインにするか、先ずはお客様のご希望・こだわりを聞いてからデザインを考えます。
デザインを考える上でのポイントは、当たり前ですが見たときにキレイに見えること、そして全体のバランスです。

例えば今回のリフォームの場合、お客様からのご希望が幅広のリングでした。

3つの石はほぼ同じ様な大きさなので、中石をサファイアにしてシンプルに並べれば、バランスが良く綺麗に見えます。

また幅広とは言いましても、お客様の指に合った幅というのが実際はあります。

指のサイズが8.5番(細いです)ということもあり、使い易さも考えて中央が最も幅広く下にいくにつれて細くなっていくデザインをご提案させて頂きました。

 

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メインのサファイアですが、だいぶ欠けたり削れたりして傷だらけです。

ガードル(直径を測る外周部分)とテーブル面(そのガードルより上の面)だけ、リカットして傷を取り除き形を整えます。

 

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枠はセンターが一番幅広くなるので、中石を強調出来る意味合いも含めてダイアの取巻きにして、左右のダイヤとのバランスをとります。

更に枠の上下の縁にダイヤをぐるっと配置して豪華さを演出しました。

 

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出来上がりはこんな感じです。

中石もサイドのダイアも浮いて見えるような、世界で唯一つのオリジナルリングの出来上がりです。

細かくは言えませんが他にも色々こだわりを詰め込んだ仕上がりに、お客様にも大変満足していただけました。

 

現代のジュエリー製作にも、コンピューターは欠かせません。
デザイン画はもちろん、リングもコンピューターで造っちゃいます。

図面とほぼ同じに出来上がりますし、微妙なラインやバランスの確認をしながら何度でも修整や微調整が可能になり、よりデザイナーの想いが表現され易くなったと思います。

そのうち普通の方でも、思い付いたデザインで気軽にジュエリーを造れるようになっていくかもしれませんね。